IMS 29周年企画展

意匠:STUDIO MOVE Co.,Ltd
構造:XYZ structure
写真:exp 塩谷淳
竣工:2018|福岡
構造形式:小径木材軸組吊り架構

IMS 29周年企画展

意匠:STUDIO MOVE Co.,Ltd
構造:XYZ structure
写真:exp 塩谷淳
竣工:2018|福岡
構造形式:小径木材軸組吊り架構

 福岡天神にある商業施設IMSにて会場構成の展示物である。建築家との初セッションの第一声が「塊を浮かせたい」という要望であった。限りなく浮いたように見える構造体が求められた。重力を受ける環境において浮いた物というのは現象として存在できないが、浮いたように見えることは可能なのですぐに、了解しました、 と答えた。吊ることは最初から想定できた。どこから吊るか、幸いにも企画展示のために30m近くはあろう吹き抜け空間の上部から簡易的な上下可動式の鉄骨フレームがあった。しかし重量制限の制約があった。もともと建築家からの初期CGでは建築構造で一般的な4寸角でグリッドを組んたような構造体のイメージであったが、それでは重すぎた。また、不特定多数の人の頭上に浮かす塊ということもあり、重さは危険度に比例することもあり、最も危なくない状態を考えた。単純にカーテンのような布がぶら下がっているだけであれば誰も怖くない。形を維持しつつ最も軽い状態をめざすため現場での組み立てが可能な細いフレームを目指すこととした。吊り構造として地面から引き離したことで、構造部材はほほすべてが引張状態となり細い部材の弱点である座屈から解放されたことから30mm角材を基本とした。地組みしたあと上部をワイヤーで緊結し斜め形状にして吊り上げるため徐々に地面から離れていく際に躯体が捩れることを鑑みて適所に斜材を配置することとした。浮き上がったフレームは繊細かつ柔らかく頭上に存在していた。弱くすることは建築構造設計のセオリーから外れるが、弱く軽くすることで可能となる構造体があることに気付かされたプロジェクトであった。
(XYZ structure 荒木康佑)

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