SAKURA PASSAGE FUNERAL HALL
意匠:百枝優建築設計事務所
構造:XYZ structure
写真:八代写真事務所
竣工:2019|福岡
構造形式:木造平屋建て
延床面積:約300m2
SAKURA PASSAGE FUNERAL HALL
意匠:百枝優建築設計事務所
構造:XYZ structure
写真:八代写真事務所
竣工:2019|福岡
構造形式:木造平屋建て
延床面積:約300m2
本建物は美しい桜並木に沿って道路から奥まった位置に計画された葬祭場である。意匠的には桜並木から想起された平面計画と空間構成の提案、および建物全体としての経済設計を主題とした計画である。基本モジュールとして柱梁@910mmとし、柱中間点から放射状に前後斜めの4方向に方杖を設け連続させることで意匠的空間の獲得を目指した。構造的には欄間部分を積極的に開放し空間上部の連続性を守れるよう計画した。
本建物の構成要素として主となる方杖について下記3点を構造的に意識した。(1)立体的火打ち梁としての要素。つまり方杖群上部に帯状のトップライトを設けることで切れる屋根面の水平剛性を補完する形で斜め方杖から柱へ応力伝達させる系とした。(2)柱中間部から放射状に回転しながら方杖を出す樹状回転体を連続させることで、単体では不安定な回転体を全体で安定させる計画とした。(3)方杖により梁スパンが短くなることで、部材断面は意匠的に梁成を揃えながらも経済的寸法に抑えた。
さらに階高の設定においては柱材長を一般流通の4m材となるよう設定し、面材系も規格寸法を選択できるように部材ピッチおよび高さを整理することで経済性に配慮した。
車寄せの庇は4.55mスパンの片持ちとし、無柱であることと建物と一体であることが求められた。鉛直方向については主方杖を建物内部まで連続させることで柱の曲げ変形を抑制し、内部の躯体まで軸力伝達させることで柱梁の応力負担をコントロールした。庇先端の水平方向力については屋根の面剛性確保に加えて斜め方杖を配置することで変形抑制と応力伝達を図った。
桜並木通りからアプローチし、軒下を介して小中大の空間に展開しながら上部で連続する木架構が、柔らかな光と協調して、私個人は幼き日に木陰に座って見上げた木々の風景を思い出した。弔いの場として誰かの優しい記憶に触れるような建築になれば嬉しく思う。
(XYZ structure 荒木康佑)