すがはら地域交流施設

意匠:Jun Itano Atelier
構造:XYZ structure
写真:針金洋介
竣工:2021|福岡
構造形式:木造2階建て

すがはら地域交流施設

意匠:Jun Itano Atelier
構造:XYZ structure
写真:針金洋介
竣工:2021|福岡
構造形式:木造2階建て

街に開かれた木造2階建ての福祉施設の計画である。構造的に何か面白いことができないかという相談を受け、一般的な木造建築と比較して少量の耐力壁量およびスパンが大きいプログラムの中で、構造らしからぬ構造によって柔らかく透過性をもった躯体の構築ができないかと思案した。ここでは木造4号建築物の規模であるため壁量計算を満足できる最低限の壁量を面材および筋交いにて確保することで法規的要求をクリアすることを前提に、とはいえ最低限の壁量では実情として耐震性が乏しいことから、プラスアルファの構造耐力要素として、地震時の初期変位後に機能しはじめてかつ塑性変形能力を高めることが期待できる市松模様の格子耐力壁を提案した。これにより耐震性を向上させるとともに地域と施設の境界面となる外壁ラインにおいて透過性をもったフレームが現れることで適度な距離感をもちながらも街に対して開くことを目指した。ここでの市松格子耐力壁はこの建物に限らず、その耐震補強的特性ゆえに汎用性をもっているように思われる。構造計画において、耐震性を向上させるためのサブストラクチャー的発想は空間利用の構造的柔軟さが求められる現代においてとてもユニークな解答をもたら可能性をもっているように思う。
(XYZ structure 荒木康佑)

 -パネル化した「市松格子耐力壁」は地組み後に柱梁間に挿入-

error: コンテンツは保護されています